受験生活について

  ※最終的に東京大学の文科T類(法学部)に向けての受験生活についてです。特に後半(私立受験後)は東京大学に向けた勉強法を軸としています。なるべく全学部に共通する勉強法を書きましたが、その他の学部を受ける方にはこれ以外の具体的な対策もあることを念頭においてください。

<帰国前>
1.成績、SAT、TOEFL
  帰国前はまず学校の成績とSAT、TOEFLのスコアーを上げることに力を注ぎました。それぞれの大学がスコアーをどれだけ重視するかは様々ですが、できるだけ高いスコアーを持つに越したことはありません。スコアーの基準も年々上がっていることは確かであり、(2010年度の慶応大学法学部法律学科ではSAT2010点が一次審査で不合格となっていました。)帰国生が希少な存在ではなくなってきたからこそ高い水準が求められています。

2.新書を読むこと(読書)
  次にやっておくべきこととしては読書です。中でも新書を帰国前からたくさん読んでおくことは大きな強みとなります。帰国生入試における小論文の試験では社会情勢についての問題意識の高さとそれを分析する多面的思考と論理性が問われます。これらを培うために新書を読むことはとても有効です。新書というと堅苦しい印象がありますが、読みやすい文体で書かれているものも多くありますし、帰国前の段階では自分が志望している学部の分野にとらわれず自分が面白そうだなと思ったものを読んでいれば大丈夫だと思います。また、新書を読むことは国語力を培うことにもつながります。ヨーロッパをはじめとする他国の帰国生はSATではなくIBというプログラムを高校で受けます。このプログラムはSATのような一回の試験ではなく、ある一定期間特別な授業をうけるものであり、日本語の科目が用意されています。そのため、ヨーロッパからの帰国生は自然とアメリカの帰国生より日本語力がある傾向にあります。彼らに遅れをとらないためにも、国語力をできるだけ帰国前に身につけるべきです。特に、多くの生徒が一番初めに経験する早稲田大学の試験は小論文と英語の試験のほかに国語の試験もあり、帰国してからの約2ヶ月半の間だけで国語力を満足に回復することは難しくなってきます。また、国語力は英語の試験にも影響します。英文和訳はいくら英語を話せたとしてもきちんとした日本語に直すことができなければ満点をとることができません。中でも要旨要約は特に国語力を問われます。

  ちなみに、新書以外に国語力を伸ばすこととして新聞を読むことも上げられますが、駿台では朝日新聞を基盤に経済学部志望の生徒は日本経済新聞をも読むことを勧めていました。経済学部は経済的な知識も多く要求されます。また時事の確認とともに社説を読むことも重要です。(インターネット上で公開されています。)

3.自分が何をしたいか
  そして最後に、学校生活の中で色々な体験を通じて将来についての視野を広げながらも自分が何をしたいかをある程度明確に定めておくことです。面接試験において志望動機を聞かれますが、自分は将来何をしたいかを軸に、そう思うようになったきっかけや、それを叶え、また叶えてくれる大学に入るために、何をしてきたかなどをアピールする場となっています。そのアピールをより独自のものにするのに学校生活における経験が役立ちます。

4.まとめ
  ここまで帰国前について長く書いてきましたが、つまり大学受験において帰国前の準備は相当重要であるのです。帰国後は予備校で主に実践練習を行ってきます。そのための基盤を作る時間は帰国後ではあまり多くありません。帰国前にできるだけ早く準備に取り掛かることが帰国後の予備校での勉強の質をより高めてくれるのです。
そしてこれらを達成するためにもSAPIAの英語、小論文の授業は大いに役立ちます。SATのスコアーを上げ、小論文を書く力の基盤を形成することができました。自分に何が足りないのか、何をすべきなのかの的確なアドバイスを先生方はしてくれます。また、将来ビジョンの形成を相談する際にもとてもお世話になりました。親身になって相談に乗ってくれる先生方と帰国前の準備をすることは不可欠であると思います。


<帰国後から私立受験>
1.意識を変える
  次に帰国後のことです。まず私立受験において意識的に注意しなければならないことはすぐに受験日がくるということです。帰国してやっと予備校に入ったことでひと段落ついてしまい、入試まで約2か月半しかないという危機感は最初のうちは感じられにくく、新しい友達もできることでついつい遊びがちになってしまいます。そうならないためにも、早めの段階で出願の書類を用意することを済ませ、勉強に集中できる体制をいち早く整えることが大切です。

  そしてもう1つ意識しておかなければいけないことは、大学入試が日本の入試であるということです。英語にある程度の自信があってもそれはあくまでも感覚的な英語の知識であり、入試で出されるのはそれだけでは解けないということを意識しなければなりません。特にアメリカの帰国生はこの意識をもちにくく、出される問題に対し「でもアメリカではこういう表現も合っている。日本の英語は不自然だ。」というように反発する意識がなかなかとれません。しかし大学が要求することに素直に応えることが最優先です。確かに言いなれない表現であったとしても、その意識はできるだけ早く捨てることが、入試を突破するのに必要な英語力を身に着けるのに重要なのです。

2.読書
  意識的なものの次に、実際の勉強面で注意することとしてはまず、帰国前に引き続き、読書をすることです。帰国したあとは自分の志望する学部の分野を重点的に読み始めるとよいでしょう。駿台では小論文の先生が参考文献リストをくれるのでそれらの本を読むことが最優先となります。そしてただ読むのだけではなく読書用のノートをつくり、重要な知識やかっこいい言い回しなどをメモしていくと有効です。(ちなみにわたしは100均で蛍光色のプラスチックの付箋を買い、読みながら重要な文の上に貼り付け、本をすべて読み終わったあとまとめてメモしていました。)この読書用のノートは特に国立を目指す受験生は必須です。

3.書き直し
  次に、予備校の先生にも言われると思いますが、小論の書き直しを行うことです。本を読み、知識を得て、論理的に書かれた文に慣れても、実際に自分でそれを書き、指摘された部分を直さなければ実力はつきません。簡単なことではありませんが、早いうちからこの作業に慣れることで後の国立へむけた本格的な受験勉強がスムーズになります。

  また、慶応大学を受ける生徒は早く書く練習もしましょう。出題課題はそこまで難しくないものの、一時間に1200字は帰国後の夏の段階では結構な分量であると感じられます。(国立を目指す生徒は段々一時間に1200字は余裕がでてきます。最終的には約1時間半で2000字近くを目指すわけですから。)制限時間を十分に意識してください。

<私立受験後から年末まで>
1.情報収集(読書)
  次に、私立受験後から12月終わりごろにかけてです。私立が終わりひと段落すると安心感が生まれ、たるみやすい時期となります(10月ごろから11月にかけて)。しかしこの期間こそが知識収集に一番時間をかけるべき時期であると私は感じます。年が明けると、実践的なことと集めた知識の整理整頓が重要になってくるからです。引き続き読書とメモづくり、そして書き直しを続けましょう。わたし自身はたるみにくいようにするために途中で11月に一校受けてモチベーションをキープしました。

2.ネタ作り
  12月になると年が終わってしまうことからかまた危機感が生まれてきます。12月からは「ネタ作り」を始めます。ネタ作りはまず先生に入試にでる予想を聞きます。いくつかのテーマを言ってくれると思います。そして次に、今まで集めてきた知識(読書ノート)を整理整頓し、どの情報がどのテーマに使えるかを整理します。それと同時に、小論の書き直しも本格化します。第2期の後半からかけて小論文の授業では大分本番に近いテーマを扱ってきます。それらの中から予想テーマにあったものを選び重点的に書き直していきます。今まで添削師さんにしか書き直しを見てもらってなかったのを、先生とも打ち合わせするようにします。駿台では年明けころから先生との打ち合わせを予約する制度ができますが、そのころには先生の争奪戦となってくるのでできるだけ早くから先生と打ち合わせを始めましょう。このころには書き直しを6,7回することは普通になってきます。途中、駿台は冬休みがありますが冬休みは最終的な読書をしながらも、ネタ作りを進める良いチャンスだと思います。
この時点でのネタ作りの過程をわかりやすくまとめると

  1. 入試にでるテーマの予想を先生に聞く。
  2. 各テーマに合わせた情報のまとめ、整理整頓。
  3. テーマにそった過去の小論の課題を先生と打ち合わせしながら書き直す。
  4. 読書

    となります。

3.過去問
  そして、12月頭には過去問をも入手するようにしましょう。英語の過去問は特に複数回解いて形式になれるべきです。英語は「東大英語25か年」「一橋英語15か年」という赤本を入手しましょう。

<年明けから筆記試験本番>
1.続けること
  年が明けるといよいよ大詰めです。まず基本的に変わらないのはネタ作りです。年明けからの授業で出される小論文の課題全てをほぼ完璧な状態にまで書き直しをしていくことが望まれます。また、小論文の中で海外生活の体験を書くことが要求されますが、そのネタも整理しておくとよいでしょう。そして過去問を繰り返し解くことも変わりません。

2.新しく取り掛かること
  変わることとしては、まずもう一回英語に触れることです。英語エッセイのために英語の論文を読んでみたりニュースを聞いてみたりするとよいでしょう。そこまで本格的にする必要はありませんが、私立から長い間英語を書く練習をしてないのでもう一度英語に慣れることが必要です。
  また、情報収集の仕方を読書に重点を置くのではなく、インターネットを使用することをお勧めします。説得力のある小論には主張したい事柄を支える具体的なデータが必要です。自分が求めているデータをピンポイントで素早く入手できるのはやはりインターネットでしょう。今までのネタ作りにおいて変わることといえば、このインターネットでの情報収集という点でしょう。
  次に、実際に自分のネタを小論文の授業で使ってみることです。似たようなテーマであれば自分のネタを工夫してそのテーマに合わせて書いてみる練習をします。実際に試験でやることはまさに自分のネタの適用なわけですから。また、自分が持っているネタがどうしても使えないと思った場合は、(東京大学の場合はテーマの範囲がとても広い課題なので、大体ネタをひねればどうにかなります。とはいえ、2010年度の「東アジア共同体」のようにわりと具体的な課題もありえるので油断大敵です。)せめて形式(論の展開方法)だけでも自分のネタから引用するべきでしょう。そしてもちろん、このような課題は新しいネタとして書き直しに取り掛かるべきです。
  そして、一橋大学を受ける方は面接試験の練習も始めなければいけません。国立の面接は私立のそれとは違いかなり厳しいです。しっかりとした受け答えができるよう何回も面接の練習を重ねるべきだと思います。
  ちなみに、最終的にわたしは9つのネタを完成させました。9つは結構多い方ですが、最低でも5つは持っているといいでしょう。ほとんどが6、7回以上書き直しを行ったもので、一番の自信作は13回も書き直しを行いました。ネタ作りは大変ではありますが、一つのネタができたときの達成感はたまりません。そして、できれば入試5日前ぐらいにはすべての予想に対するネタを完成させ、それぞれの論の展開を記憶する作業にうつるべきでしょう。

<筆記試験(東京大学)>
  まず、試験は英語90分、小論と英語エッセイ合計で150分です。英語の90分は長く聞こえるかもしれませんが、実際にはとても短いです。途中でリスニングが入ることによって時間がとられますし、問題数も結構あることで見直す時間もあまりなくなってきます。いかに素早く正確に解けるかが勝負となってくるのです。小論は一時間弱を英語エッセイ、一時間半強を日本語の小論文に時間を割くべきです。英語エッセイは5~10分でメモを完成させ約40分で仕上げます。(1ページと半分ぐらいの分量)小論文は15~20分ぐらいでメモを完成させ、約80分で仕上げるぐらいのペースで行うとよいでしょう。英語エッセイと日本語の小論どちらを先にやるかは好みの問題ですが、日本語の小論の方を重くみると考えられるので日本語を先にやる方がよいかもしれません。

<筆記試験後から面接試験>
  やっと筆記試験が終わり、次は面接の準備です。面接の準備は繰り返し予備校の先生との模擬面接を行うことが一番です。国立の面接では書いた小論文について主に聞かれます。この部分は小論文の先生との打ち合わせで対策をするべきでしょう。つぎに一般的な質問(志望動機や将来展望など)は、繰り返し模擬面接をすることで対策するべきです。最低でも一日に1回の模擬面接をすることが望まれます。

  本番は想像以上に手ごわいものとなるでしょう。容赦なく小論で書いたことなどに突っ込みをいれてきます。しかしそこでへこたれたり反抗したりするのではなく、理路整然とした受け答えをしながら、自分が貴学で向上したいのだということを相手に伝えることが大事です。

<健康>
  そしてなにより大切にすべきことは健康です。上のことをすべて十分にこなせたとしても本番に体調を崩してしまっては意味がありません。都会は風邪をひきやすいところですので、手洗いうがいは徹底して、体調管理に気をつけましょう。

<まとめ>
  国立に向けた受験は決して楽なものではありません。これまで書いてきたことのようにたくさんやることがあります。そして狭き門です。しかし、どんな結果であろうと自分が一生懸命頑張ったと思える受験生活で培ったものは一生の糧になります。わたし自身、国立は思うような結果にはなりませんでしたが、私立受験後からの国立に向けた受験勉強を経験したことは自分の強みになったと思います。

  自分の受験生活を振り返って、ものすごく頑張ったなと思います。しかし、正直な話上に書いたことをすべて行えたわけではありません。頑張ったけれども、上のような準備がもっと必要だったということをあらかじめ知っていればもっと頑張れたかもしれない、とも素直に思います。客観的に見れば受験に失敗したということになり、そのような者がこのような体験記を書くことは図々しいのかもしれませんが、だからこそ、今後の受験生の皆さんが受験に関する情報をあらかじめ少しでも多く知っていることで、より良い受験生活となることを願っています。